【テキスト】 草魚連魚釣りの要点     小西茂木解説 (昭和50年7月)

 

草連魚の釣趣といったものは、野ゴイほど深くはないという人がいる。だが、野ゴイの食いしぶりの時期(産卵後や晩秋)の空白をうずめる釣りものとしては、申しぶんがない。両大魚とも、釣り方の要点を知っていれば、野ゴイよりも釣りやすい点もある。

 ここでは@流れのないポイントの宙釣り法と、Aゆるい流れのポイントのウキ脈(仮称)釣りを説明する。@Aとも、草連魚に共通。Aはエサだけ、またはエサとオモリを地着きとしてウキでアタリをとる方法。Aはコイにも共通の釣り方である。

サオと仕掛け サオはレンギョザオ、または多田作野鯉竿。グラスならなるべく短くて、穂先の弾力の強いもの。長過ぎてはアワセがおそくなる。ハリは角セイゴ1820号。ハリスは毛糸のように柔らかなもの。Y字型に仕立てる。オモリ、2号。浮力15グラム以上の遊動ウキ使用。宙釣りの道糸、ダクロン30ポンド。(リールの糸に20メートルほど、つぎたせばよい)ダクロンでなければ、穂先とウキの間を1メートル程度にして釣らなければ、ウキが手前に引き寄せられてしまう場合が多い。ただし、船釣りでなければ、穂先とウキの間をせまくして釣れない。ダクロンを使っても、その間がせまい方がアワセがききやすい。(釣り方Aならダクロン不要)

エサ】 草連魚とも「大ゴイ」を使う。粉に水を入れてかきまわしトウフガラ状に仕上げ、荒練りのものを握りかため、寄せ打ちに使う。その一部をていねいに練り柔らかく仕上げて食わせエサとする。下図の通りエサづけする。連魚が本命でもマッシュの素練りでは集魚効果が弱い。

釣り座】 急深の場所の、なるべく低い位置に設ける。釣り座が高くてはサオや人の動きが下から見えやすく、魚群が警戒する。岸が高ければ、後退して釣り座をかまえる。

釣り方】 止水のポイントならウキ下1メートルから1メートル半。気温水温の低い時は23メートル。草魚でもネリなら宙釣りがよい。(ただし、イモの角切りなら地着き)▽ゆるくても流れがあればウキ脈としなければならぬが、オモリを底につけない方がアタリがわかりやすい。ウキ脈の場合は水深4メートル以内のポイントを選ぶ。あまり深くては底までエサを追ってこない。▽釣りはじめに、まず寄せ打ちをする。トウフガラ状の大きな玉のエサをハリにつけ、第1発は10数メートル先へ打つ。23発と順に近くへ打って魚群をさそい、穂先から先の、サオの全長以内の一点をポイント(ウキの位置)ときめて、たびたび打ち返す。アタリが出てくれば食わせエサをつける。コイ釣りのようにおきザオにせず、サオに手をかけていて、アタリがあれば、すかさずアワセをくれる。ウキ脈釣りでも同じこと。

アタリ具合】 ウキ脈釣りのアタリはとりやすい。ウキがふっと持ち上げられる(食いあげ)。または、すっと引き込まれる(消しこみ)。その一瞬を見のがさず、するどくサオを立てることだ。流れがあればアタリを見分けやすいが、止水のポイントで脈にしては、ほとんどアタリがわからない。

宙釣りのアタリの出方は複雑だ。食いに活気があれば、大きな食いあげや消しこみがあるが、たいていはウキのトップがほんの少し、すっと沈む。反対に押しあげられる、気がつかないほどかすかにウキ頭がゆれ動く、少しずつウキが移動してゆくなど、はっきりしないアタリの出方だ。いくらか経験をつむまでは見分けにくいから、ウキに少しでも異常が見えればアワセをくれることだ。▽連魚の小ものが数多くエサにむらがってくると、ウキが右へ、あるいは左へと、押しやられてゆく。しかし草魚の大型も同じようなアタリぐあいをすることがある。一気に食いこまず、口先でエサをつつきまわしているのだから、道糸のたるみを巻きとり、じっくり待って、消しこみか食いあげのアタリでアワセをくれる方がよい。図Aの形ならアワセがやりやすい。Bのように遠くなればなるほど、アワセが不確実になるから魚群を近くへ誘いよせることだ。