レンギョの産卵
北関東支部 遠藤 和彦 

 昨年はついぞレンギョたちの産卵に適した雨は降らなかったように思う。今年こそは“雨よ降れ”と願っていたもののとうとう6月は小雨のみ。この7月中旬になってようやく台風4号の影響により大雨が降った。集中豪雨の災難に遭われた方々にははなはだ不謹慎であるが、増水によりレンギョたちの産卵があったのでここにその一部を報告する。

「水位の変化 H19.7/14〜17」
「利根川・栗橋付近」 map fan Web参照 「レンギョの卵」

 7月15日から図のように利根川・栗橋付近の水位が上がり始めた。かつて見に行った時は水位が5mほども上昇したのだが、今回は4mに留まった。16日は台風一過となって水位が下がり始め、例年よりやや遅いものの必ず産卵が行なわれると確信して、利根川・栗橋町に向かった。国道4号線・利根川橋と東北新幹線鉄橋間の右岸にある権現堂川への水門が最もよく産卵を見られるポイントだ。現地に着くと5:30。普段は100mほどの川幅が今日は300mにもなっている。川岸のネコヤナギが水没してやや流速が遅くなったところに20〜30近い三角形の背びれが見えている。ほんの足元から1〜2mほどのところである。どれも1mクラスのレンギョだ。ときどき数尾のレンギョが散発的にジャンプするが、まだ産卵のタイミングではないらしい。吹きつける北風はやや肌寒く感じるほどである。私の他にも産卵を見ようと数人の人たちが川面を見つめている。しかしなぜか50歳を過ぎた通称オジンと言われる年代の人たちばかりで、女性もいなければ若い人もいない。完全にオジンの部類に属してしまった私にはなぜかはわからない。
 周りの人と雑談をしながら、待つこと3時間。昭和37・38年ごろから産卵風景が見られ始めたとのことである。台風一過といえども快晴にはならず、雲間からときどき陽が指してくる曇り空。地元の人の話では、今日は水温が低いので、今一産卵には適してないらしい。今日もこれまでと持参した金魚すくいの網を水中に入れて1分間。上げてみるとひと粒のレンギョの卵が入ってきた。今日は非常に少ない産卵数である。10年ほど前に来た時は、10秒間で100粒ほど網に入ったものである。はやり今の時刻はまだ産卵のタイミングではないのであろう。
 帰宅後、インターネットで栗橋町のホームページを見てみたら、15:00ごろ産卵光景を確認したとのことであった。

 来年も再来年もこの自然の営みが続くことを願ってやまない。


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