釣れづれ鯉


  コイも楽しければ、釣り師も楽しい
北関東支部・遠藤 和彦  

先般の大会で、ある検量所に行った時のことです。口からエラにロープを通されたコイが無造作に置いてあって何か処刑場のような印象さえ受けました。このページ写真のような思いをしたコイたちは、しばらくの間はロープによる物理的な傷のせいばかりでなく、心理的なストレスでエサを喰う気にもなれず、やせこけ、その中にはやがて死んでしまうのもいるかもしれません。
それに対して、一度ハリ掛かりしバレたコイが、その夜またハリ掛かりするといことも事実です。 やり取りの最中に幸いにもハリスが切れたために、そのコイにとっては、さしたる外傷もなく、ただ口先に邪魔な針がぶら下がったくらいのストレスしか感じなかったらまたエサを摂る気になったのでしょう。

また、これまでに何度かBの写真のようなオチョボ口のコイを釣ったことがあります。これは釣られた時のやり取りによる外傷、もしくはコイの口先の骨格を無視して、ペンチで力任せに針を外した際に受けた外傷によるものと思われます。傷口は、時間の経過とともに癒えても変形してしまった骨のために十分に口を開けられず、したがってエサを吸い込む力も弱くなり成長にブレーキがかかってしまいます。できれば口の損傷を少なくするためにヘラブナ釣りでは常識になってるカエシのないスレバリを使いたいもの。(スレバリを使用する時は1本針では外れやすいのでY字型2本バリがお勧めです)

私達にとってコイ釣りとは人生を楽しくするための遊びに過ぎません。 しかしコイたちにとっては、釣られたら最後、必ずリリースされる保証はなく、文字通り命がけで抵抗してきます。その時の引き具合がコイ釣りの魅力でもあるのですが、釣り上げたコイのその立派な体躯、凛々しく堂々とした姿に接するのもまたいいものです。

コイさんたちにとっては美味しいエサが食べられ、仮に釣り上げられても丁寧に扱ってくれるのでストレスが少ない。だからまた釣り人のエサを食べてしまう。

コイさんも私たちもお互いに楽しめるようにもっとコイさんたちを丁寧に扱いたいものです。
     

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